高齢妊娠について
近年、女性の結婚や仕事に対する考え方や価値観やライフスタイルが大きく変化し、晩婚化が進んでいます。
また、結婚後もしばらく避妊期間をおいて、2人だけで過ごす夫婦も多く、妊娠・出産年齢の上昇(晩産化)も急速に進んでいます。
高齢妊娠とは、学術的な定義ではありませんが、一般的に30歳以上の妊娠を高齢妊娠とよんでいます。
高齢出産が全出生に占める割合も1970年に4.7%だったのが2000年には11.8%、2007年には19.4%※(5人に1人)と増え続けています。またこの傾向は都市部でより顕著になっています。
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では、妊娠を考えている人が35歳以上だったらどのようなことに気を付ければいいのでしょうか?
■加齢に伴う卵子の老化によるリスク
1.流産率の増加 2.染色体異常の増加(ダウン症等) 3.他の胎児奇形(先天性心疾患・口唇裂・口蓋裂等)の増加
■年齢による産科リスク
1.前置胎盤 2.子宮内胎児発育遅延 3.新生児仮死 4.帝王切開術 5.分娩時出血多量等
■合併症によるリスク
1.高血圧 2.糖尿病 3.腎疾患を発症しやすく、特に高血圧を合併すると母体や胎児死亡の原因となりうる 4.常位胎盤早期剥離の発生率が上昇。糖尿病は流産率・奇形率・周産期死亡率を上昇させる。また、加齢と共に 5.子宮筋腫の頻度が増し、増大すると不妊・流早産・分娩障害のリスクが高くなる。
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女性が自らの意思で仕事や結婚や妊娠を自由に人生設計できるのは素晴らしいことですが、時代が移り変わっても人間にとって妊娠・出産に適した年齢は25歳前後であることを忘れずに、高齢妊娠に伴うリスクなどの知識や情報をしっかり把握しておくことは不可欠です。
※厚生労働省/平成19年人口動態統計